Beauty exists in the present moment, devoid of past and future, and it is because of this, it is always alive.”
“美は過去も未来もなく今この瞬間に存在し、
それゆえに常に生きている”
― 鈴木大拙
いつの時代も人々に寄り添い、絶え間なく移りゆくファッションの軸となってきたデニム。 そのデニムとカットソーという、肌に一番近いアイテムにフィーチャーしたWHY NOT NOWが新たに始動した。 ディレクター櫛部美佐子を軸にしながら新たにデザイナー陣が加わったことで実現したこのラインでは、Chaosの持つ洗練された気高さをエッセンスに、ベーシックスタイルのアップデートを試みている。
Chaosが描き出すデニムスタイルの
ニュースタンダード
ー どうして今回、デニムとカットソーに注目したのでしょうか。
デニムはいつでも、私たちのファッションの中心にありました。長い歴史を持つクラシックでいつの時代もスタンダード、だからこそ新しいものを作り出すのは難しいんです。でもChaosがスタートして6年経って、私たちが理想とするスタイルが確立されてきたからこそ、満を持して挑戦してみようと思えた。「今」に焦点を当てて、この時代を生きる女性に寄り添ったデニムスタイルを作り出したい、その想いで試行錯誤を重ねました。理想の形が完成するまでにいくつもの壁を乗り越えて、自信を持ってお届けできるデニムを作り上げることができた。ただ今でも完成とは思っておらず、これからも進化し続けていきます。
ー デニムにも様々なスタイルがあるなか、目指したのはどんなものですか。
ベーシックでいいものを作りたいと考えました。例えばデニムジャケットは、1950年代に生産された“2nd”と呼ばれるLevi'sの507XXを参考に。1920年代に誕生した“1st”より洗練されたボクシーなシルエットでありながら、1960年代に登場した“3rd”よりもシンプルでワークウェアとしての魅力を感じました。男性用に作られたこのアイテムから、Chaosのアイテムに似合うようにシルエットやディテールを調整しました。ワークウェアらしい強さのあるディテールは残しつつ、糸の使い方を変えたり女性らしい感覚で気品溢れる線の美しさをプラスして、新たなデニムのスタンダードを目指しました。
ー 今回ダメージ加工とリジットという、同じ形で複数の加工を用意したのは?
着ていくうちに色や形の表情が変わっていくのもデニムの面白いところなので、リジットは絶対にやりたかったんです。ファッションが好きならば、ノンウォッシュの状態からデニムを自分だけの1本に育てたいと思ったことがあるのではないでしょうか。若い時から育てているデニムがある人も、挫折した経験がある人も、大人になった今だからこそ挑戦してみてほしい。そう考えて、WHY NOT NOWではストレートシルエットのデニムパンツとデニムジャケットのリジットを用意しました。ダメージ加工のほうも、細やかなこだわりがあります。ボタンやパッチ、タグまで繊細な加工をして、ヴィンテージの持つ風合いを再現。工場で職人が一つずつ細かい作業を施して実現しました。WHY NOT NOWのパッチも、革ではなくあえて紙にしたので、ボロボロになるまで履いてもらうのがかっこいいと思います。
上質な素材でディテールにこだわった
大人のためのベーシックウェア
ー WHY NOT NOWでは、デニムスタイルから派生したカットソーウエアも展開しています。
肌に直接触れるカットソーウエアは、すべてオーガニックコットンを使用しています。シンプルなカットソーのTシャツやワンピースによって、編み立て方を変えて触り心地や透け感などにバリエーションを持たせました。カジュアルでありながら上質なアイテムは、ChaosのアイテムやWHY NOT NOWのデニムに合わせていただくのにぴったりです。
ー デニムとの化学反応により、これまでChaosが提案してきた人物像がまた一つ広がった。ワークウエアをベースに創り出した、ミニマルでコンシャスなシルエットはChaosの上質な日常着にも自然に溶け込んでいく。クラッシーな空気を持つChaosのウエアにWHY NOT NOWのデニムを履けば、知らなかった自分と出会えるかもしれない。