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Chaosの店内を彩る生命力溢れるグリーン。
都会的で無機質な空間に有機的な美しさを添えるのは、
irotoiroのフローリスト・三浦裕二さんです。
Chaosという名を表すような混沌の中の美しさを描き
生命の息吹をイメージしたクリエーションに迫りました。

2023年3月に5周年を迎えたChaos OMOTESANDOのアニバーサリーパーティーの際に掲げられた、生命をイメージした三浦さんによるインスタレーション。

 irotoiroは、フローリストである三浦裕二さんの独自の観点で選ばれた植物達が並ぶ祐天寺のフラワーショップ。活動はそれだけに留まらず、様々な空間で美しくも力強い植栽を造り上げてきました。Chaosとの出会いのきっかけは、ディレクター櫛部美佐子がたまたま店の前を通りがかったこと。その世界観に惚れ込んだ櫛部の依頼を受けて、三浦さんはChaosの店内の植栽や展示会などでのクリエーションを担ってきました。今回は三浦さんの人生とリンクする自由なワークスタイルや、クリエーションがどうやって生み出されるのかお聞きしました。
Chaos櫛部美佐子(以下、櫛部):三浦さんはいつ頃からフローリストを目指されていたのですか?
irotoiro 三浦裕二さん(以下、三浦):実は元々花屋になるつもりはなかったんですよ。高校時代、ただなんとなく毎日を過ごしていたのでやりたいこともなく、誰かにその後の人生を決められるのがとにかく嫌になって、卒業式の次の日に一人で山奥に移住しました。今思えばそれが今の仕事に繋がっているのかもしれません。小さな温泉宿で働きながら、時間さえあれば山の中を散歩する毎日でした。夜に風の歌を聴きながら、草木が生い茂る道を一人歩いていると、怖いけどなんだか力が湧いてきて生きていることを実感できたんです。それから自然に囲まれた空間で仕事がしたいと思い、東京に引っ越しました。
櫛部:想像を超える行動力です。意を決して上京してから、すぐに植栽の道に進まれたのでしょうか?
三浦:何かしら植物にまつわる仕事をしようと、最初は花や植物を販売するフラワーショップで働き始めました。しかしその仕事にも慣れてきて何か新しいことに挑戦したいなと思っていた頃に、その後10年間師事することになる師匠にお会いできたんです。花を販売するだけではなく樹木や植物を使って空間を構成する植栽の仕事をやっていて、その方の元で修行をしました。
櫛部:なるほど……。10年間の修行を経ても尚、植物を使った空間作りに魅せられているように思えますが、その理由をお伺いしたいです。
三浦:植栽は、花や草木に一つとして同じものがなくて四季により移り変わっていくので、作り上げる度に違った面白さを発見できます。とにかく20代は仕事しかしていなかったけれど、毎日が楽しくて仕方がなかったです。楽しいからこそこれまで止めることなく継続できているんだと思います。あの時間は大きな財産となっていますね。

有機的なobjectを繋げて
人間の持つ本来の自然美を造る
piece of Chaos

櫛部:今回の展示会での植栽は、Chaosのアイテムの特徴のひとつでもある「有機的」という言葉がキーワードになっています。目には見えないイメージをどのように形にしていきましたか?
三浦:人間は自然から生まれた「有機的」な生き物であるという概念を、「有機的」な花や草木、そして岩を使って表現しました。メインとなる大きな石はたくさんのサンプルから、溶岩を選んでいます。一度熱されて黒くなり朽ちている溶岩と対照的な生き生きと伸びる植物の根を共存させ、生と死を孕んだ人間の生命力を描きました。
櫛部:会場である Chaos OMOTESANDOやYOKOHAMAなどの各店では、いつも植栽をお願いしています。月に2、3度、季節に合わせた植物で店内を彩ってくださっていますが、Chaosは三浦さんにとってどのような場所ですか?
三浦:僕にとってChaosは、自由に新しいことに挑戦させてくれる場所ですね。いつも心がけているのは、Chaos OMOTESANDO 天井も高く広い空間で最大限に魅力を引き出すための、ダイナミックかつシンプルな演出です。これまでも、様々なコンセプトを固定概念に囚われずに表現してきました。それは櫛部さんのユニークなリクエストのおかげなんですよ。だから僕たちの共作です。
櫛部:本当にいつも予想を上回るクリエイティブな作品を創り上げていただきありがとうございます。最後に、Chaosに飾られている植物はどのような視点で選ばれているのかを教えてください。
三浦:そうですね。都会の「Chaos(混沌)」の中でも、自立して美しい感性を持ちつづける女性たちに向けて常に新しくインディペンデントな提案をするChaosのように一癖も二癖もありつつ、どこか女性性を感じる植物を選んでいます。これからもChaosの考える目には見えない概念や信念をオブジェクトとして表現するために、フラットな目線で植物たちの新たな可能性を見出していきたいです。

irotoiro 三浦裕二
〈FLOWERS NEST〉で修行し2014年に独立。2017年に現在の場所にirotoiro(東京都目黒区中目黒5-27-24 TEL:03-5708-5287 営業時間:10時~19時 不定休)をオープンさせた。店内ではブーケはもちろん、花を1本から購入可能。
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天井から吊り下げられた木の根。さらにその根にぶら下がっているヒヤシンスの球根は、ここから外して来場者にプレゼントされた。